BingのAIチャットとChatGPTを比較、信憑性や創造性、人間らしさやUIなど

2023-03-06Bing AIチャット,ChatGPT レビュー・ほか,ChatGPT

BingのAIチャットとChatGPTを比較、信憑性や創造性、人間らしさやUIなど

Bing AIチャットとChatGPTを実際に使ってみて良い点・悪い点をそれぞれ比較してみました。

BingのAIチャットは本当にChatGPTと同系統のOpenAIのAIモデル、GPT-4が使われているのか

2023年2月の発表にて、BingのAIチャットはOpenAIのAIモデル、ChatGPTと同系統の次期バージョン GPT-4が使われているとの告知がされています。

しかし、実際に触ってみるとBingAIとChatGPTとでは、返答のタイプが大きく違う事がわかってきます。

感覚的には、基本会話の組み立てはGPT-4、情報自体はBing検索エンジンの検索ロボットがウェブから収集しているデータを出力しているといったところでしょうか。

もしかすると、会話の組み立て部分の仕様も大きく変更している、もしくは、OpenAIのAIモデルを採用と言っていたのはChatGPTの人気にあやかる為のMicrosoftの戦略で、そもそもOpenAIのAIモデルのバージョンはまだ実装されてはいないのではないか、とさえ思ったりもしています。

情報の信憑性について

情報の信憑性という面では、ChatGPTよりBingのAIチャットの方が優れています。

BingのAIチャットから得る情報はGoogle検索の「他の人はこちらも質問」に近い?

BingのAIチャットは会話形式で成立していますが、これはGoogle検索の検索結果に混ざっている「他の人はこちらも質問」、PAA(People Also Ask)と呼ばれている機能に近いものを感じます。

BingのAIチャットに、何か知りたい事を会話に含めると「○○を検索しています」と表示される事が多く、その場合は上位の検索結果からピックアップして文章部分を改変した情報を返信として提供します。

Google検索の「他の人はこちらも質問」は、ほぼ書き換えられていない答えの一部と、その文面があるページへのリンクが必ず表示されます。

BingのAIチャットの参照元リンクについて

WEBサイトが関連した情報サイトとして紹介されますが、ここに参照したであろう情報元サイトは記載されていない事もあります。

特にAIが発言に含めている情報元が個人サイトの場合は、その個人サイトのBingの検索結果は1位でも表示されない場合もあるようです。
その場合は2位以降の大手サイトが表示される事になっているようです。

2位以降の大手サイトが紹介されており、アクセスしてみても同じ情報が見つからない場合、本来の情報元は、別途Google検索などで調べるとBingAIが参照したであろうサイトが見つかります。
主語や動詞、語尾など色々と言葉自体は改変していますが、情報そのものは改変できないので、おそらくここが参照元なのだろうと判断できます。

この文章の改変あたりは、他人のサイトをコピーして切り貼りしたり文面だけごにょったコンテンツを作る一部のウェブライターさん達と変わらないレベルまで到達しているようです。

ChatGPTの情報は信憑性が低い

現在のChatGPTのバージョンはリアルタイムで情報をWEBから探してくるという事はしていませんので、情報量としては乏しいものがあります。

知りたい事によって違いますが、人物やニュース、歴史や過去の出来事なんかはあまりあてにしない方が良いです。

逆に、文章や表現、単語や言葉の意味、プログラムなんかについては言語AIというだけあって、信頼できるものが返ってきます。

何か正確な情報を得たい場合、ChatGPTではなくBingAI、BingAIも検索して表示するまでの時間ロスが大きいので、普通にGoogleで検索する方がはやい場合もあります。

創造性について

何か物語や詩などの作成をAIに頼んだ場合、BingのAIチャットも ChatGPTも、一定のレベルのものを答えてくれます。

同じテーマと条件でBingのAIチャット、ChatGPTそれぞれに作成して貰った場合、その結果は大きく異なってきます。

ChatGPTは物語の展開をベースにして、そこにテーマの題材を入れていくスタイルです。

BingのAIチャットはWEBから情報を取り寄せて、より情報に基づいた物語を展開しているようです。

実際に「織田信長が実は生きていたというテーマで物語を書いて下さい。」と全く同じ文面でBingのAIチャット、ChatGPTそれぞれに作成して貰いました。

BingのAIチャットの場合

BingのAIチャットの場合はWEBから探してきた史実や諸説を大きく参考にしているようです。
ですので、物語の冒頭から展開まで史実と諸説から外れないような展開が続きます。

物語の冒頭数行でいえば、何度同じ質問をしても同じ文脈が返ってきます。
また、2回に1回はイタリアに渡って修道士になる物語が展開され、内容も地名や人物が変わったりするだけで、かなり近いものが返ってきました。

何度も試しているうちの一度だけ参考サイトに「織田信長は生きていた」というタイトルのWEBページが表示されいました。
確認してみたらこのページの内容に大きく影響を受けているというか、この話か、というレベルで話を辿っている感じでした。

ここまで近い物語を展開するなら、毎回参考にしたサイトとして大きくこのページを表示するべきでは?と思います。

とにかく、様々な人が同じテーマでBingのAIチャットに物語を作って貰った場合、多くの人が似た物語あるいは同じ物語を目にする事になると考えられます。

BingAIで物語を書いて貰った結果
BingAIで物語を書いて貰った結果

ChatGPTの場合

ChatGPTの場合は、織田信長という情報を元にしますが、史実や諸説などは割と無視する事が多いです。

何度か同じテーマで物語を作成してもらうと、実は生きていたという展開に加え、タイムスリップなどとんでも展開な話を作成する事も少なくありません。

基本的には、同じテーマで作成して貰っても、全然違うストーリー展開のものが返ってきますので、そういう意味では楽しめます。

ChatGPTで物語を書いて貰った結果
ChatGPTで物語を書いて貰った結果

物語を書いて貰うならBingのAIかChatGPTか

より史実と諸説に近い物語を読みたい場合はBingのAIチャットの方が優秀でしょう。

誰も想像した事もないような展開の物語を読みたい場合は、違った展開も読みたい場合はChatGPTです。
史実とかけ離れる場合も多いので、ツッコミどころは多いですが・・^^

また、作家志望の方など物語のアイディアを得たい場合は、BingのAIチャットは避けるべきかと考えます。
おそらく、同じアイディアの物語が既にネット上に存在しており、それをそのままか、他の物語と切り貼りしただけの内容になってしまうでしょう。

当然ながら、どちらも指定方法や条件の追加の仕方で、結果が変わってきますので良し悪しは様々です。

AIの回答をちょっとの編集程度で自分の作品、記事として世に出すのであれば、アイディアや文章について他に書かれたものが世にないか、必ず確認する必要がありそうです。
そうしないと、Google検索エンジンさんが忌み嫌い続けてきたコピーコンテンツ、まさにそのもの作成してしまうことになります。
いつ害悪と判断されて、いつペナルティを受けてもおかしくないと考えます。

そういった確認作業の手間を考えると、作品としての文章や創作物、記事なんかは自分で考えた方が楽なのではないでしょうかね。

メールの挨拶文や定型文、規約やルール、企画書のプロットなど、一般的に使われる文書はAIの方が効率よさそうなものも、まだまだありそうですね。

人間ぽさ、人格について

いずれにせよ、双方ともに性格や人格は備わっていません。

その上で、BingのAIチャットはより人間的に演じるように設定されていそうです。
逆にChatGPTの場合は、AIであることを前提として会話するように設計されているようです。

人間ぽさ、らしさ、という点ではBingのAIチャットの方が優れています。
これは、単に運用元の設定の違いだと考えられます。

このあたりは完全に好みが分かれる部分ですので、好きなタイプのAIチャットを使えば良いかと思います。

AIチャットで知りたい事にもよりますが、同じ情報を得られる物事であれば、ChatGPTの方が回答を得るまでの時間は短くなりそうです。

回答するはやさは、混在具合などの影響を双方受けますが、BingのAIチャットの場合は人間っぽさを演出する影響を受けます。

例えば「考えている」という時間を要する場合もあったり、テーマの脱線、自己主張、ささいな「反論」から究極は「ぐずる」事まであり得るように設定されています。
この時間を楽しむのかロスだと思うのかには個人差があるでしょう。

人格や感情については、ChatGPTは「自身はAIであり人格・感情や思考を持っていないので答えられない」と回答する事も少なくありませんが、BingのAIは感情をより豊かに表現、自分の考えを主張します。

UIの操作性、機能性について

UIはそれぞれメリット・デメリットがあります。

BingのAIチャットは、IMEの影響か入力でおかしくなる事があります。
また、WEB検索を介する分、回答に時間がかかります。
設定でダークモードに出来ないのも、ダークモード好きにとっては不評となる原因のひとつですね。

BingのAIチャットのダークモードについては、誰でも使えるような設計でJavascriptで自作、以下のページにて公開しています。
関連:BingのAIチャットを簡単にダークモードにする方法(Javascript) | ONE NOTES

ChatGPTはUIやメニューが日本語に対応していない問題があります。
ただ、過去のログを残しておけるという部分ではChatGPTの方が助かります。

回答の質や使い道については様々ですが、結局はそれが真実かどうか、創造物の場合はそのアイディアが既にネット上に存在していないか、その全てを常に通常のネット検索でチェックする必要があるのは同じです。