Copilot+PC | ハードウェア要件や疑問点について
Microsoftが新しく定義した「Copilot+PC」についてハードウェア要件や機能、性能についてまとめ、疑問点などを記載しています。
Copilot+PCのハードウェア要件
Copilot+PCに対応したAI機能が使えるようなるハードウェア要件(システム要件)は以下のようになっています。
- 40TOPS以上(NPUを組み込んだプロセッサーまたはSoc)
- 16GB以上のメモリ(DDR5またはLPDDR5)
- 256GB以上のストレージ(SSDまたはUFS)
- 連続22時間以上の動画再生が可能なバッテリー
- Wi-Fi7対応
- タッチパネル(推奨)
現状では、ノートPCがPCメーカー各社から発表されており、今後はタブレットやスマートフォンにも対応していく可能性があります。
Copilot+PCの特徴
Copilot+PCでは新たなAI機能に加え、以下のような特徴があります。
- Recall、Cocreator、Live CaptionsなどのAI機能
- Arm64ネイティブアプリのサポート
- 最大22時間の動画再生が可能
Arm64ネイティブアプリのサポートについて
2024年6月現在では、Copilot+PCの要件としてArmベースのプロセッサしか許可されていません。
省エネというメリットもありますが、逆にいえば x64 または x86 ベースのアーキテクチャを使用したアプリケーションは利用できない状況となります。
Windowsアプリケーションでは、x64 または x86 にしか対応していないものも多く存在するため、 Copilot+PC=Armである現状では、利用しているアプリケーションの中に動作しないものがある可能性があります。
省エネ化とバッテリー駆動時間について
省エネという制限を無視すれば、40TOPSなんて事はなく桁違いの性能をグラフィックボードなりで実現できます。
省エネ・バッテリー駆動時間という条件が緩和されるまで、バッテリーそのものを持たないデスクトップPCは、その桁違いの性能を持っていてもCopilot+PCに対応するかどうかの土俵にも立てないという事でしょう。
しかし、発表された機種を見る限り、本当に言うほどの省エネとなっているのかは疑問です。
「22時間以上の動画再生が可能な事」がCopilot+PCのハードウェア要件として定義されてると認識していましたのですが、「最大22時間」という事は22時間未満でも問題ないという事の模様。
事実として、MicrosoftがCopilot+PC対応機種として発表したSurface Proでさえ、バッテリー駆動時間は22時間に及ばず、13インチ版に関してはバッテリー駆動時間はビデオ再生時で最大14時間と22時間には遠く及ばず、これまでの機種と大きく変わりません。
また、バッテリー駆動時間計測のテスト環境がこれまでの機種での計測方法とは違っているようです。
- Windows Media Playerにて.movファイルのビデオ再生(1080p/24fpsに設定)
- 画面の明るさを150nitに設定
- 自動明るさ調整を無効
- それ以外はすべて既定値
- Wi-Fi に接続(でもオフライン?)
他メーカーが発表しているCopilot+PC対応機種のスペックも確認しましたが、いずれもCPUとWi-Fi7以外のパーツは既存機種のままで、バッテリーの増強などはないようです。
現在、他メーカーでテスト環境が確認できるのはHPのみでしたが、やはりテスト環境の条件が変更されているようです。
バッテリー駆動時間は、連続FHDビデオ再生、解像度1080p(1920×1080)、輝度200 nit、システムオーディオレベルがイメージのデフォルト、プレーヤーのオーディオレベルが100%、ローカルストレージから全画面で再生、ヘッドフォンを接続、またはスピーカー経由(オーディオジャックポートがない場合)、ワイヤレスがオン状態(ただしインターネット接続なし)という条件で、HPによってテストされています。
HP OmniBook X 14-fe 製品詳細 – ノートパソコン | 日本HP
省エネになっていく傾向には期待していますが、現状ではまだまだ期待できなさそうです。
ローカル(オフライン)でもAI機能が使えるの?
正直、理解できていないのですがCopilot+PCについて説明されている記事や動画では「AIの機能をインターネットを介さずデバイス内で完結して処理できるようになる!」と紹介されているものが見つかります。
例えばWindowsの単純な操作などであれば可能な可能性もイメージできますが、翻訳や画像処理などCopilot+PCでできるようになると言われているAI機能については必要な学習データはどこにあるのか?という疑問があります。
多くのAI処理はインターネットを介して外部サーバーで実行され結果を得るイメージしか持てないのです。
Copilot+PCについて感想
MicrosoftがCopilot+PCを打ち出した狙いのひとつとして、AI=Copilotという消費者への印象付けが狙いがあるのでしょう。
加えてWindowsのArm移行の推進を持ってきた感じ。
Intel Core Ultraは現在のものは34TOPSと必要な40TOPSに少し足りていません。
IntelもAMDも40TOPS以上のNPUを組み込んだCPUをスグに発売するでしょうし、今後はArm一択になっていくという事ではないのではないでしょうか。
個人的には、発表されているCopilot+PCで利用可能になるAI機能には心躍るような魅力は感じませんし、仮に今PCが壊れても、PCの買い替えにCopilot+PC対応しているという選択肢は条件に加えないでしょう。
発表されている対応モデルはやはり高価格ですし、欲しくなった場合もまだ待機しておきたいところ。
遅延の殆どないレベルのリアルタイムで翻訳しつつAI音声で会話できるようになるのであればタブレットやスマートフォン端末で欲しいかも。
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