東京電力の値上げの詳細をチェック、燃料費調整額は安くなる

電気料金,光熱費

東京電力の値上げの詳細をチェック、燃料費調整額は安くなる

「東京電力」をはじめとする「北海道電力」「東北電力」「北陸電力」「中国電力」「四国電力」「沖縄電力」のが2023年7月分(6月検針日~分)が値上げされています。

報道ではなかなか言及されていませんが、対象は「規制料金メニュー」で昨年の高騰で話題だった「自由料金メニュー」については変更はありませんので「更なる値上げ」とは少し違います。
※ 規制料金メニューも値上ってましたが、国の緩和措置もあり既に値上がり前の水準に落ち着いています。

当方が契約しているのは「中部電力」で、規制料金メニューの値上げは検討もされていませんでしたので、あまり意識はしていませんでしたがネットニュースだと「最大何パーセント値上がり」とか「契約あたり何円の値上げ」とかの情報ばかりで、実際料金メニューの何がどう変わったのか全くわからず。

「中部電力」もいつか、値上げの検討ははじめるかもと読めないですので、こうもふわっとした情報だけでは、あまり役に立ちませんので、まず「東京電力」の電気料金の何が変わったのか確認してみます。

「東京電力」の規制料金メニュー「従量電灯B」の変更点を確認してみましたが、ザックリ以下のような形になりました。

  • 基本料金はそのまま
  • 電力量料金は値上げ
  • 燃料費調整額は値下げ

基本料金はそのまま

基本料金は契約電力量によって違いますが、10A~60Aまでのすべてで変更点はありませんでした。

電力量料金は値上げ

1kwあたりで課金となる電力量料金は値上げですね。
第1段階料金(~120kwhまで)、第2段階料金(120~300kwhまで)、第3段階料金(300kwh~)でそれぞれ「10.09円」の値上げ幅となっています。

今までこれから
第1段階料金(~120kwhまで)19.91円30.00円
第2段階料金(120~300kwhまで)26.51円36.60円
第3段階料金(300kwh~)30.60円40.69円
東京電力の電力量料金

これだけみると、まさに驚愕の値上げといった印象を持ちました。
月あたり400kwh利用する家庭の場合、4,000円くらい高くなりますね。

燃料費調整額、再エネ賦課金、消費税を加味すると、およそですが報道で見た「先月まで月13,000円だった家庭は今月から17,000円になる」という計算もあながち間違いでもなく、ここまでなら「東京電力で17%の値上げ!」というニュースにも納得です。

しかし、それは、ここまでならです。
逆に「燃料費調整額は実質的に大幅値下げ」となっているのです。

燃料費調整額は値下げ

東京電力のページには「燃料費調整額」の算出方法に変更点がありましたが、「値下げ」されるという意識が全くなかった為、なかなか理解が出来ませんでした。

まず、基本燃料単価と基準価格が変更されています。

東京電力、燃料費調整の見直し
東京電力、燃料費調整の見直し

基本燃料単価は、燃料費調整額の増減の基準値になります。
44,200円から86,100円への変更で、この値が±0の基準値になりますので、大きくなれば燃料費調整額は下がっていきます。

また、基準価格も燃料費調整額の計算に用いられます。
プラスの時もマイナスの時にも倍率として計算しますので、基準単価が小さくなると、プラスマイナスどちらにも振れ幅が小さくなります。

この基本燃料単価と基準価格は結構大幅な変更で、変更前と比較して変更後は1kwhあたり、およそ7円ほど安くなります。

2023年7月分の燃料費調整額を計算してみる

月々変動する2023年7月分の平均燃料価格は70,000円ですので、基準値より安くなっています。

基本燃料単価の計算式は以下のようになっています。

(平均燃料単価 – 基準燃料価格) * 基準単価 / 1000

この算出方法で2023年7月分を計算すると。

(70,000 – 86,100) * 0.183 / 1000 = ▲2.9463円

ここから更に国の緩和措置である7円が引かれて「▲9.94円~▲9.95円」となるはずです。
東京電力が発表している燃料費調整単価一覧表(7月分)を確認したところ上記の計算で合っているようです。

東京電力、燃料費調整単価一覧表
東京電力、燃料費調整単価一覧表

電力量料金の値上げと燃料費調整額は値下げで実質値上がり幅は1kwhあたり2円程度?

東京電力の場合、2023年7月分では、電力量料金の値上げと燃料費調整額は値下げで実質的な値上がり幅は1kwhあたり2円程度となりました。
400kwh使う家庭での値上がりは約800円ほどですね。

※ 電力量料金と燃料費調整額は消費税の扱いを忘れましたが、そのあたりで、もう少し値上げ幅あるかもです。

結局、今後燃料価格が高騰しようがしまいが、実質的な値上がり比率は数パーセントに収まる計算で、ニュースなどで流れている25%の値上げ!17%の値上げ!とかは何だったのかという感じです。

報道でみた「先月まで月13,000円だった家庭は今月から17,000円になる」ではなく「先月まで月13,000円台だった家庭は今月から13,800円になる」でしたね。

テレビニュースでも相変わらず自由料金メニューが高くなれば、さも規制料金メニューも値上がったような印象報道してましたし、今回は逆に規制料金メニューしか値上げされないのに、さも自由料金メニューもごっちゃにして、さも更なる値上がり!みたいに、ご都合主義な報道していますしね。

他の大手電力会社の値上げ内容は、まだ見ていませんのでなんとも言えませんが、似たような感じで報道しているのかも知れませんですね。

気になるのは石炭価格の比重が増した事

しかし、上記した基本燃料単価と基準価格の変更による表で気になる点がひとつあります。

電気料金の燃料価格は「原油」「天然ガス」「石炭」から算出されますが、その換算係数の値も変更になっています。
特に原油が大幅に下がり、石炭が大幅に上昇している事が確認できます。

東京電力、燃料費調整の見直し2
東京電力、燃料費調整の見直し2

中部電力でも毎月の平均燃料単価は都度発表されていますので、面倒そうな計算を算出しなおすなんて考えた事もなく、あまり気にしてはいませんでしたが、石炭の係数が増えたという事は石炭の仕入れ量や価格の増減が大きく反映されるようになったという事であっているのしょうか?

このあたりに罠があったり、影響が出てきたりするのか気になるところです。